2010年03月18日

不明朗な現金27億 「タンス預金」小沢氏に説明責任 (産経新聞)

 民主党の小沢一郎幹事長と関係の深い政治団体「改革フォーラム21」が平成7〜19年の間、4億円超にのぼる繰越金を「現金」で管理していた疑惑が10日、表面化した。政治団体の繰越金をめぐっては、自民党旧橋本派の政治団体「平成研究会」が15年の政治資金収支報告書に18億円余と記載していたにもかかわらず、実際には大半が選挙などに使われ、3億円しか残っていなかった事実が日歯連事件を契機に発覚。不透明な繰越金の実態が明るみに出た経緯がある。(調査報道班)

 改革フォーラム21では、小沢氏の「金庫番」と呼ばれ、18年9月に死去した男性が、5年から亡くなるまで会計責任者を務めており、「タンス預金」の疑惑が浮上した期間は、この男性が同団体のサイフを握っていたという。

 小沢氏は平成17年、資金管理団体「陸山会」の口座に一度入金され、すぐに下ろされた4億円もの資金について、東京地検特捜部の事情聴取に「既に死亡している知人から預かった現金。引き出してすぐに返した」と釈明したが、この知人が「金庫番」の男性だ。「預かった」との釈明は、にわかに信じることはできないが、一方で、男性が巨額の資金を現金で管理していた事実を、小沢氏が「認識」していたことを示すものとみることもできる。

 小沢氏が党首を務めた自由党が14年、党の幹事長だった藤井裕久前財務相個人に「組織対策費」名目で支出したことになっていた15億円余の資金は、16年10月に改革フォーラム21の口座に入金され、翌年までに全額が引き出されたとされる。

 現金で保管していた15億円余の資金を、入金直後に発行された新一万円札に切り替える目的で、一時的に入金した可能性が指摘されている。当時の同団体の会計責任者はまさに、「金庫番」の男性だった。

 陸山会が16年に購入した土地の代金に充てられた4億円の原資について、特捜部は「ゼネコンからの裏金が含まれていた」と、衆院議員、石川知裕(ともひろ)被告らの公判で主張する方針とされる。

 小沢氏周辺には、単純計算で27億円もの不明朗な現金があった可能性があるが、小沢氏は自身の「政治とカネ」の問題で説明責任を果たしておらず、国民の政治不信は一層深まりそうだ。

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2010年03月13日

高校無償化法案が衆院可決へ 川端文科相が朝鮮学校の適用除外を示唆(産経新聞)

 衆院文部科学委員会は12日、公立高で授業料を徴収せず、私立高生らに「就学支援金」を支給して負担を軽減する高校無償化法案を審議した。3年後に制度内容を見直す規定を追加する修正をし、与党などの賛成多数で可決する見通し。支給対象に在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の指導下にある各種学校、朝鮮学校を含めるかが焦点だが、川端達夫文部科学相は同日午前の同委員会で、除外する可能性を示唆した。

 川端氏は「(支給について)一つの参考にしながら議論しているのは、高校を卒業すれば大学の入学資格ができるかということだ」と述べ、卒業と同時に入学資格が得られない朝鮮学校を対象に含まない可能性に言及した。川端氏はその上で、制度が始まる4月からの朝鮮学校への支給について「評価基準は国会の審議を踏まえるということなので、一部、4月に間に合わないことはあり得る」と述べた。

 一方、平野博文官房長官は12日午前の記者会見で、高校無償化の対象を判断する際に政府外部からの意見を取り入れる可能性に関し、「そういうことも含めて文科相が法案審議をかんがみ、進めているのではないか」と述べ、第三者機関の設置を検討していることを明らかにした。

 委員会審議を通じ、公明党は「低所得者への支援が不十分」として法案修正を要求。付則に「法施行から3年後に、必要があると認められる時は見直しを行う」との文言を盛り込む。

 同法案は、公立高を設置する地方自治体は授業料を原則として徴収せず、国が減収分を補(ほ)填(てん)する内容。私立高や国立高の場合、世帯の年収に応じ、生徒1人当たり年額約12万〜24万円を高校側に一括支給する。

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2010年03月09日

外国人が住む町 歩み寄りなく遠い「共生」(産経新聞)

 【二〇三〇年】第5部 日本はありますか(2)

 2030年のわが国の姿を映し出すかのような“町”がある。トヨタ自動車のおひざ元、愛知県豊田市の保見(ほみ)団地。住民8421人のうち外国人が4041人と48%を占める。そのほとんどは日系ブラジル人だ。外国人が増えると地域はどうなるのか。団地の20年史は苦難に満ちていた。

 愛知万博の会場跡に近い丘陵地帯。67棟3千戸の大型団地に足を踏み入れるとポルトガル語の世界が広がっていた。ショッピングモールはブラジルの食材店や飲食店、DVD店が並び、彫りの深い顔立ちの男女が談笑する。空き地では日系の子供たちがサッカーボールを追いかけていた。

 団地に27年暮らす豊田市議、松井正衛(せいえ)さん(63)は「多文化共生のモデルケースとも呼ばれる団地だが、外国人が集住しすぎてしまった。お互いに歩み寄る姿勢をなくしてしまった」。

 保見団地は昭和50(1975)年の入居開始。平成2(1990)年に日系人の単純労働を認める改正入管難民法が施行されると、トヨタ関連の工場で働く日系ブラジル人が急増した。日系人とは、かつて北米や南米へ移民した日本人の子孫のことである。

 団地はやがて、ごみ出しルール違反や違法駐車、深夜の騒音などをめぐる摩擦が深刻になった。11年には一部のブラジル人と右翼関係者のトラブルで大型街宣車が放火され、両者がにらみ合う中で機動隊が出動する騒ぎとなった。松井さんは「右翼と暴走族が連日『外国人は出ていけ』と叫んでいた。ごみ団地と呼ばれ、最悪の時期だった」。

 現在、表面上は穏やかな郊外団地の風景が広がるが、日系3世の松田プリシラさん(31)はこう話す。

 「団地のブラジル人は日本人から悪いイメージで見られていて、親しくなれない。残念なことですが」

 ◆中途半端な教育

 同じ血が流れる日本人の子孫とさえ、われわれはよき隣人になれないのか。

 プリシラさんの祖父母は三重県出身。戦前にブラジルへ移民し帽子工場を営んだ。プリシラさんの父親(54)は工場を手伝ったが、1980年代のブラジルは経済混乱に見舞われ、一家は90(平成2)年、出稼ぎのため来日した。

 12歳だったプリシラさんは大阪府八尾市の小中学校へ通い、日本語も上達した。シャープの下請け工場で洗濯機の組み立てラインにつき、夜間高校へ4年間通った。日系2世の男性(29)と結ばれ2女に恵まれた。保見団地へ来たのは2年前。父と夫はトヨタ関連の工場で働いている。

 「大阪では学校や仕事先で日本人の友達もできた。ここはブラジル人ばかりで、日本語を話さなくても生活できてしまう。日本に来た以上、日本の習慣に合わせるべきと思うのに、『ワタシ日本人じゃない』『ずっと住むわけじゃない』。結局、ブラジル人はブラジル人、日本人は日本人で暮らしている」

 プリシラさんの小学3年の長女(9)が通う市立西保見小は、児童184人のうち外国籍が103人と56%に及ぶ。日本語を教える専門教員5人と通訳5人が特別に配置されているが、松井さんは「外国人との共生がうまくいくのは経験上、日本人と外国人の比率が7対3まで」と言う。

 「先生方は本当によくやっているが、結局は日本人児童の教育もブラジル人児童の教育も中途半端になっている。両方の子供たちが不幸な状況に置かれている」

 子供を西保見小へ通わせたくないため転居していく日本人家庭もあるという。

 ◆日本人の覚悟は

 保見団地が現在の姿となったきっかけに携わった人物がいる。法務省入国管理局のキャリア官僚だった坂中英徳さん(64)。バブル期の人手不足を補うため日系人の単純労働を認めた平成2年の改正入管難民法の骨子作りを主導した。

 20年後、31万人まで増えた日系ブラジル人の現状に「日本人はもっと温かく受け入れると思っていた。長い目で見てほしいが、まだ共生できてはいない」。

 坂中さんは反省も込め、単純労働の外国人労働者ではなく、永住する移民の受け入れを提言している。特定の国に偏って受け入れず、日本語教育を徹底するなど受け入れ態勢を整える。自民党の議員連盟による「移民1千万人構想」の素案も坂中さんによるものだった。

 一方、外国人労働者問題に詳しい埼玉大学の小野五郎名誉教授(67)は「移民を受け入れた欧州諸国は、本音では失敗だったと後悔している。良好といわれたオランダでさえ揺らいできた」とし、こう話す。

 「スウェーデンが成功例といわれるのは強権的に押さえつけているからだし、スイスは市民による密告が盛んだ。移民を受け入れる社会的コストを日本人は担えるのか。日本人はそこまで覚悟ができるのか」

 一昨年秋のリーマン・ショックに続く「トヨタショック」を受け、豊田市全体で千人の日系ブラジル人が帰国したが、保見団地からは100人ほどだった。滞日10年以上の人が6割を占め、定住化が進んでいる。

 プリシラさんは昨秋から、父親が結成した日系ブラジル人住民団体の一員として団地内で情報紙の発行を手伝っている。

 「20年後、団地がどうなるかは分からないけれど、ブラジル人と日本人、どちらも相手の文化に興味を持ってもらいたい。互いにもっと知り合ってほしい」

 情報紙はポルトガル語と日本語で書かれていた。

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